セミナー抄録

2018年セミナーの抄録を一部
掲載します。

セミナー開催の詳細は前記事を参考に
してください。


<脳イメージングを用いた精神症状と認知機能の理解>



山田 真希子 先生

(国立研究開発法人 量子科学技術研究開発機構 放射線医学総合研究所
 脳機能イメージング研究部 脳とこころの研究チーム)


私たちの思考は、偏ったものの見方や思い込みなど「認知バイアス(偏り)」が生じやすいことが知られています。特に、自分自身に対しては、概して自分に都合の良い解釈を行う傾向があり、「ポジティブ錯覚」と呼ばれる認知バイアスを持ちます。ポジティブ錯覚は未来への希望につながることから、こころの健康に重要な役割を果たすと考えられています。一方、うつ病患者は自分について現実的、あるいは、否定的な捉え方をすることが知られています。本講演では、うつ病の中核症状である抑うつ気分を背景にした「絶望感」と認知バイアスとの関連についての研究中心にを紹介します。血流の変化を指標として脳の活動領域を調べる機能的脳画像(functional Magnetic Resonance Imaging:fMRI)と神経伝達物質の動態を指標とする陽電子放射断層撮影装置(Positron Emission Tomography:PET)を用いて、ポジティブ錯覚が脳内で生じる仕組みについて解説し、認知バイアス評価と脳イメージング技術を組み合わせた指標により、主観的な「絶望感」が客観的に評価しうる可能性を議論します。