セミナー抄録

2018年セミナーの抄録を一部
掲載します。

セミナー開催の詳細は前記事を参考に
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精神疾患iPS細胞由来ドパミンニューロンを用いた
病態解明と治療薬開発

尾崎紀夫
(名古屋大学大学院医学系研究科 精神医学・親と子どもの心療学分野)

近年、知的能力障害(IDD)、統合失調症(SCZ)や自閉スペクトラム症(ASD)の発症に強く関わる、コピー数変異(CNV)や一塩基変異(SNV)といったrare variantsの同定が進んでいる。我々が実施したSCZ1)及びASD2)ゲノムの解析により病的意義のあるCNVが多数同定されたが、これらCNVを有する患者はIDDを頻繁に併存していた。またレット症候群はMeCP2にSNVを有する症例が多く、IDDが必発であるとともにASDの強いリスクである。これら発症に関わるゲノム変異は同定されたが、発症に至るメカニズムは未だ解明されていない。
近年、ヒト(患者)由来の脳病態を解析できる新たなツールとして注目されているのがiPS細胞である。我々は、前述のCNVやSNVを同定した患者からiPS細胞を樹立した上で、認知、情動、運動などIDD,SCZ,ASDの症状に関わるドパミン系ニューロンに分化誘導させ、その解析を進めている3)。またゲノム変異を模したモデルマウスも解析対象として4)、iPS細胞由来ドパミン系ニューロンの解析結果と照合して、包括的な病態解明研究を進めると同時に、治療薬開発を目指している。